屍人荘の殺人 感想(ネタバレ有り)
まずは基本的なデータです。
屍人荘の殺人 今村昌弘
東京創元社 ISBN-978-4488025557
このミス2018年版第1位という事で買ってきました。
読み終わるまでにかかったのは3日くらい。往復2時間弱の通勤と2時間くらい寝る前に読んでいました。
この物語、あらすじとしてはとても簡単で映画研究部の合宿に同行した主人公たちがレクリエーションの一環で肝試しに行ったところゾンビに襲われて合宿の宿泊所であるペンションに戻って籠城するものの殺人事件が発生する......と言うものです。
本格ミステリと言うからには文章も重々しいと言ったイメージを持つと言う方もいらっしゃるかとは思いますが、むしろライトノベルに近い軽めの語り口で語られます。そのために文量としては見た目よりも少ない感じになっています。ガッチガチのミステリ好きには向かないかもしれません。
さてさて内容についてですが、外はゾンビ、中は殺人鬼という変形クローズドサークルとなっています。ゾンビがペンションに攻め込んでくるためゆっくりはできない、でも殺人は起こると言う。
個人的にはとても微妙な気分になったのですが、このゾンビという存在が割と万能と言おうかなんと言おうか......
最初の殺人は殺された男の恋人がゾンビ化して噛み殺していたわけですが、これって要はたまたまゾンビになったからこそそうなったわけでゾンビでなければ起こらなかったし、第2の殺人も犯人はゾンビ化した被害者を殺していますが直接殺したのはゾンビです。さらに言えば最後の被害者も点眼薬の容器に入ったゾンビの血で死んでいます。ちなみに主人公の先輩、明智は結構すぐ死にます。
ともあれ、ゾンビさえいなければこの殺人は起きなかったわけです。
そしてゾンビの方を見ると今度はゾンビウイルスがばらまかれた理由が最後までいまいち謎。最後まで特に明示的に明かされません。
ゾンビの強さについても2階から3階はすぐにバリケードを破るのに屋上の扉は4時間以上破れないと言う強いんだか弱いんだかもよく分からない存在です。
全体的にミステリとしてはうーんどうなんだろうかと思いました。個人的には。
パニックサスペンスものとしてはいいと思います。
最後が続編に続きそうな感じだったので、次回作に期待しようと思います。
まとめ
オススメ度3(MAX5)
パニック物が好きな人、ゾンビがとにかく好きな人にオススメです。2回読むと1回目とは違う細かいところに気づけておもしろいと思います。